STORY



Living Proof








 僕らのフィールドは北海道全域。特定のエリアに限定していない。シーズン中、九州の2倍以上の大きさにもなる大地を時期やコンディションによって駆け巡る。年間40,000キロも車を走らせたことがあるほどだ。今回の撮影は1月上旬と下旬、北海道内でも比較的降雪の多い札幌エリアと、標高2,000メートル級の山々が連なる大雪山国立公園が撮影のスポットとなった。札幌エリアは昨シーズン雪が多く、比較的早い段階で笹も隠れ、マッシュやパウダーをヒットできた。大雪山国立公園は北海道有数のアルパインバックカントリーフィールドとして人気があり、北海道最高峰の旭岳もそのひとつで国内外のスノーボード雑誌の紙面の数々を飾ってきたフィールドだ。

 今回向かったのはその裏側にあたる黒岳という山へ。旭岳が世界的に有名になってきているが、実は黒岳の知名度は低い。今までほかの撮影クルーと遭遇したことはないし、内陸の特有の極上パウダーと急斜面を楽しめる。まだまだ知らないスポットが点在するポテンシャルの高いフィールドだ。札幌エリアと道北エリアの雪質の違い、景色などと一緒に3人のスノーボーダーの滑りを楽しんでいただきたい。
 世界一のパウダールームにようこそ。

– 中田 奨




中田 奨 Nakata Tsutomu Room Snowboard Magazine








TAKAHARU NAKAI

中井孝治

中井孝治 Takaharu Nakai






今回の撮影メンバーはどんな流れで決まっていったの?

今回は気持ちいい場所で気持ちいい滑りをできたらいいなっていう感じで、メンツはウエさん(植村能成)、ミノッチ(見野雄祐)。何年か前から一緒に滑ってて、先輩ライダーでスキルももちろんだけど、一方的に俺が雰囲気とかも好きで、滑りに誘いたくなる年上のメンツ。そんなメンツでやりたいなぁって。


俺のなかではターンもフリーライドもフリースタイル





3人の世代間がすごく面白いメンバーで魅力的だね。それぞれが残してきた芯が太いというか。

ウエさんたちとやるときは自分が一番年下で行くから、みんなの様子を見ながらも俺のペースでやらしてくれたり、雰囲気とか滑りに対しての考え方とか、プッシュとかじゃくてそういう風にやったらそういう感じでいけるなぁとか、先輩からもらえるパワーがいいすよね。スノーボードのフリースタイルって、俺のなかではターンもフリーライドもフリースタイルだから、自分より長くスノーボードをしてる人は、いろいろ経験してきてるから一緒にやりやすい。ラインが気持ち良くやれないコンディションのときに、ジャンプしたいなって思ったらコウヘイ(工藤洸平)、ケイスケ(吉田啓介)とか年下と滑るのも面白いから、撮影に混ざって刺激をもらう。

撮影は自分にとってどんな位置づけなの?

自分にとっては当たり前なもので、ライダーとしてそれがすべて。ライダーとして一番重要視してる部分で俺がやってく場所。スノーボーダーとして大会の解説とかも仕事だけど、絵を描いている人と一緒で、自分がイメージした滑りを表現したい。シーズンはじめはスキー場で滑って、良い乗り方はどこか? とか探ってるんですよ。それを試す本番の場所が撮影。気合が入るし、今まで自分がやってきたものを表現できてるのか? そういう感じで挑んでる。

自分の滑りで大切にしてる所は?

クリーンなスタイルが好き。攻めのギリギリな滑りでカッコいいなって思う瞬間もあるけど、自分の滑りとしてはクリーンな滑りを目標にしてて完璧な滑りをしたい。8割っていうよりつねに6割程度位で滑ってるように見えるような滑りで映像に残したいっていうのがある。

その感じは映像、写真から滑りに滲み出てると思う。 

追求していったらなるべく無駄な動きを減らしてこうって感じ。たまに攻めてる映像もあるけど、全部そういうのじゃなくていいなって。ニコラス(ミューラー)とか、ルイーフ(パラディス)もそうだけど、攻めてるけどノレてる感だしてて、場所じゃなくてスキルで魅せるっていう感じ。

撮影を続けているモチベーションはなんですか?

まだ自分が上手くなれるって感じてる。実際に上手くなれてるって思えてるから撮影で表現したい。上手くなってないな、下手になってる思ったら撮影しなくなるかもしれない。

スノーボードはいまだにどんどん面白くなってる?

昔だったら天気悪かったりパークが良くなかったら、滑るのやめてたようなコンディションのときも、今だったらリフト1本でも最後まで遊んでる。

自分のイメージと滑りの答え合わせなんだね。 

ただ撮影をしたいってよりも自分が上手くなったのを記録として残したいっていう。挑みたいって感じでやってる。 最近、俺はプロじゃないのかな? って思ったりしてて、プロフェッショナルって世間一般でいったら、ヤバい画を残さなきゃいけないとか、撮影期間のなかでも雪が良くても体を休めたり考えないといけないから。でも俺は滑りたいときに滑りたくて、それが毎日なんだけど。だから撮影じゃない日でも本気で滑って次の日体痛いけど滑りに行っちゃう。







中井孝治 Takaharu Nakai








YUSUKE MINO

見野雄祐

Yusuke Mino  見野雄祐






今回の撮影メンバーはどんな感じでしたか?

刺激的で自然な感じ。気持ちいい感じでやらせてもらってる最高の仲間。

今回の撮影で面白かったことは?

温泉に泊まったのは良かった(笑)。滑りはもちろんだけど、みんなでひとつ屋根の下で時間をともにしたってのは楽しかった。普段は車団地だからね。これからはどしどし、温泉宿に泊まりたいね(笑)。世代はみんなが違うけど、言ったらみんなスーパースターだから。そういうメンバーで撮影できるっていうのは幸せ。ダブルバックフリップも中井がいかったらやんなかったし。36歳にしてトライする日が来るとは思ってなかった。友達の力だね…ただ煽られただけだけど……煽り方えぐいやんっ(笑)。

自分の滑りで大切にしてることはなんですか?

ありすぎてわかんない。今カッコつけた(笑)。自分の気持ちが気持ちいい方にもっていきたい。パウダーやっぱ気持ちいいもんね(笑)。すげぇ、なんじゃこりゃ~って感じを大事にしてる。



スノーボーダーとして、俺のやりたい場所





高め合える仲間とのセッションが一番ですよね。ミノッチくんにとって撮影とはどういう位置づけのものですか?

俺は撮ってくれる人とか誘ってくれる仲間に恵まれてると思う。2年前に雪崩に巻き込まれて死にかけて、精神的に一度落ちたけど、やっぱり雪山もパウダーも滑ると最高。最近スノーボードが本当に楽しくなったし、やっぱり撮影が大好きっすね。これがスノーボーダーとして、俺のやりたい場所。あの人しぶとくやってんなぁって思ってもらえたら最高。

スノーボードを女に例えたら?

一生ノリノリで乗り続けたい(笑)。また、頭がおかしくなっちゃうよ。鼻血ブー。ありがとうございます。







Yusuke Mino  見野雄祐








YOSHINARI UEMURA

植村能成

植村良成 yoshinari uemura






今回の撮影メンバーはどんな印象ですか?

いやぁ~、本当のオールラウンダーって感じ。中井は大会や第一線でやってきたことをバックカントリーだったり、フリーライディングに持ち込んでやっているベストライダーかなって感じがする。北海道で滑ってきた環境、世界で活躍してきた経験を含めて、今までのやってきたことを全部踏まえて形に見せるライダーかな。 ミノッチはね。何て言うんだろうな。自分スタイルの独特な雰囲気を持ってる。自分の世界観で表現するっていう比重が大きいというか。テクニックがどうっていうよりは、アーティスト肌を感じる滑りをするから、見えてるラインが全然違ったり、イメージしている所が違うんだなって。いつも選んでるライン、ターンの切り方、持ってき方のひとつひとつが深い。

今までさまざまな撮影を行ってきたと思うのですが、ウエさんにとって撮影とはどういう位置づけのものですか?

自分のイメージを表現する。撮影は何気ない瞬間でもすげぇ悔しかったり、すげぇ楽しかったり、そういう環境を与えてくれる場所。いつも自由に滑るときは、自分のなかだけでイメージを昇華して滑るけど、撮影となると自分の表現を人に見せるものだから、楽しくもあるし、もっと上手くなりてぇなって思うことが多い。



人生のなかでやってきたことが滑りに全部出る





自分の滑りで大切にしているのはどんな所ですか?

やっぱり魅せられる様な滑りができたらいいなぁって思う。それが気持ち良さなのか? テクニックなのか? 自分とずっと探り合ってる。今までやってきた経験だったりも含めて、下手でも上手くても関係ないっていうか。撮影での表現は断片的なものじゃなくて、長い人生のなかでやってきたことが滑りに全部出る。それが滑るっていうことだけのシンプルなことだから。

昔と滑りが変わったなど自分自身で感じることはありますか?

いつも言うんだけど、最近でもターンだったり、やっと曲がれるようになってきたなっていうくらいの感じ。複雑な地形だったとしてもエッジや線で捉える滑りじゃなくて、もっと流れに乗って斜面に対して気持ちよく面とエッジを合わせながら流れるイメージでね。パウダーではそういう感じかな。今の板(UMLAUT)は3Dボトムにしてるから、エッジ以外の部分でターンをコントロールするのも新しいスノーボードの感じ方っていうか。楽しみ方の幅が広がったかな。

写真や映像を「残すこと」とは?

残すって意味では写真も映像も一緒だけど、どっちも難しいよなって思う。写真はアート性が高いし、映像は滑りのごまかしが効かない。やっぱりカメラマンと滑り手の息とポジションも含めて、しっかり合わないと良いものが撮れないから。スノーボードを続けていく上でのモチベーションに確実に繋がっていると思う。 基本的には自分のなかで納得できる滑りを表現したいって思うけど、撮り手によって表現だったり見せ方だったり全然変わってくるし、それを見てくれた人がいろんなことを思ってくれたり。滑り手も撮り手もそうだけど、それを追求して続けた人の遊びだと思うから、みんなで持ち上がっていけたらいいなぁって。

自身のスノーボードにおけるハイライトはどんなときですか?

良かったなって思うことは昔にも沢山あるけど、撮影だったり、滑るメンバーだったり、スノーボーディングにおける瞬間だったり「あぁ、コレいま最高でしょ?」 みたいな、最高って言っちゃうスノーボードがやっぱり最高だよね。それがハイライトなんじゃないかな。それを続けていってる。




植村吉成 yoshinari uemura








TSUTOMU NAKATA

中田 奨

Tsutomu Nakata 中田 奨






シーズンの多くの時間を使って北海道に張り付いて撮影していますが、それを続けている理由はなんですか?

簡単に言うと生まれ育ったのが北海道で、スノーボードをするにはいい環境だからかな。詳しく言うと、もともとふたつの島が衝突してひとつの島になったのが北海道。プレートがめくれ上がる形で日高山脈のような山が生まれたと言われていて、北海道の左右で景色や動植物の変化が楽しめる。いつも、僕がベースにしている札幌やニセコに飽きれば、道東方面と言われる東側や道北などの北側へ行き、また違った景色や雪質を楽しむ。東北や群馬に新潟、白馬、ほかにも挙げればキリがないくらい興味がある場所はあるけど、まだまだ知らない場所がありすぎて… っていうのが北海道を離れられない理由ですかね。

さまざまなライダーたちと撮影をしていますが、今回のメンバーはそのなかでもどのような特徴や面白さがありますか?

今回のメンバーは撮影ということに対して経験値が高く、フィールドにスポットを当てなくてもいいっていうのが特徴かな。年齢もバラバラ。一番上のウエさんとはひと回りも違い、見てきたスノーボードも違う。だからふだん話す内容も僕の知らないことが多く一緒にいて面白い。時間を掛けて築き上げてきたキャリアがあり、滑っているときはもちろん、ただ立っているだけでも絵になる。ただただカッコいい。 ミノッチも歳は近くないですが、いつも僕の撮る写真を良く理解してくれ気にいってくれている。実は写真家でもあり、写真として絵になる瞬間を僕のイメージ通りに表現してくれるフォトジェニックなライダーのひとり。 中井くんとは学年でいえばひとつ上ですが同い年。僕がスノーボードを始めた数年後には、日本スノーボード界のルーキーでスーパースターだった。今こうして多くの時間を一緒に過ごしているのが不思議なぐらい。撮影になれば必ず素晴らしい作品を残してくれる。あれは無理でしょとか言わない、可能な限り作品のために素晴らしい滑りを残してくれます。

ROOM MAGAZINEの7作目がリリースされましたが、自ら写真と文章で人に伝えることを選び続けている理由を教えてください。

自分がベースにしている北海道には生活に密接したスノーライフがあり、そのひとつがスノーボードだと思ってる。その生活の一部をお見せできる媒体を作って、現場にいる僕たちにしかわからない事柄をストレートに伝えられたらいいなと思い、スタートました。どこか人里離れた奥地に行ったり、ハードなスノーボードばかりが喜ばれる訳ではなく、僕の身近には素晴らしいスノーボーディングが沢山あるからね。


人に伝えようと思える瞬間がある限り撮り続けたい




ツトムくんが写真を撮り続けるモチベーションはなんですか?

なんだろう? 僕もわからない(笑)。写真が好きというよりは、スノーボードと旅が大好きなんです。スノーボードがあるから自分は写真家として活動できているのかなって思っています。あと素晴らしい環境があり仲間たちが周りにいて、いい写真を撮りたいって思う気持ちが、撮り続けている理由ですかね。これからも、人に伝えようと思える瞬間がある限り撮り続けたい。





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