SPIRITS OF RK1

RK1のルーツに迫る




 スノーボードを始めた頃の記憶を思い出してみて欲しい。初めてのスピード感、スライドターンや小さなオーリーができたことに心の底から感動する“あの”感覚。それをともに体験し、今も共有し続けるトッププロ集団、RK1。ノルウェーのリュッキンという緑豊かな田舎町に生まれたステール・サンドベック、アレック・オーストレング、レン・ヨルゲンセンは、地元のローカルスキー場のパークでともにスキルを磨き、3人の少年は世界中から注目されるスノーボーダーとなった。クルー結成のバックグラウンドや表現したい思いを3人に聞いた。



 

RK1の中心的メンバーは? フォトグラファーやフィルマー、デザイナーなどもいる? 

ステール・サンドベック: メインのメンバーは自分とアレック・オーストレング、レン・ヨルゲンセン、トレゲイル・ベルグレム、カメラマンでフィルマーのオーラヴ・スタベルド。あとラッパーのパシャもいる。

RK1結成当初の思いやストーリーを聞かせて。

アレック・オーストレング: 仲間でなにかクリエイトしたかったんだ。結成当時は大会をメインに活動してて、競争的な部分が強くなってると感じていたから、俺はフレンドリーでファンなスノーボーディングを表現したかった。

ステール・サンドベック: 最初のエディットを作ったときに、アレックがスケートボードのグリップテープに俺らの地元・Rykkinn(リュッキン)を略して、RKNと書いたのが名前の由来。ノルウェー語でNは英語のOneの発音に近いから、Nをもじって1にした。すべて自然な流れで始まって、大きくなっていったんだ。

メンバーはどのようにして出会ったの?

ステール・サンドベック: アレックとオラヴと俺はすぐ近所で育ったから生まれたときから知ってるようなものだね。レンはスノーボードを通して出会って、トレゲイルはノルウェー国内のジュニアの大会をまわっていた頃からの仲間。

RK1の中でのライバルは?

アレック・オーストレング: ライバルはいないよ。それぞれが自分のスタイルでやってるし、お互い刺激しあっていい感じでやってるよ。

レン・ヨルゲンセン: 間違いなくアレックだね。俺もアレックも子供の頃からカーリーヘアがトレードマークだったんだけど、なぜかアレックだけがあだ名がカーリーで、ずるいなと思ってたんだ。今は俺のカーリーヘアの方が長いから、俺が本物のカーリーくんだぜ!

RK1のスノーボードを通して伝えたいこととは?

ステール・サンドベック: クルーとしてのスノーボードでどこまで行けるか、それがどんなに楽しいかってこと。俺らの発信を観る人がインスパイアされれば嬉しいね。

 

“The History of Snowboard Crew RK1 with Stale Sandbech, Len Jorgensen, and Alek Oestreng” from 『Insight』 / TWS

 

 

STALE SANDBECH

ステール・サンドベック




Stale Sandbech ステール サンドベック  

ソチ五輪銀メダルをはじめとする数々の輝かしいリザルトと、それを裏打ちするスキル。高難度トリックからスローなスピンまでスタイリッシュな滑りでキッズを魅了するステール・サンドベック。世界でもっとも映像露出の多いライダーといえるステールは、1年を通してフッテージを発表し続けている。



影響を受けたスノーボーダーはいる?

間違いなくアレックだね。スノーボードを始めた頃から一緒に滑ってて、一緒にいろんなことを学んだからね。アレックと滑るのはいつだって最高だよ。

オリンピックのときになんでモヒカンヘアーにしたの? ヘイキ・ソーサへのオマージュ?

そうだよ。ソルトレイク五輪でモヒカンで滑っていたヘイキ・ソーサへのリスペクトを込めてね。子供の頃テレビで観て、スノーボーダーはほかのスポーツ選手よりも個性的でめちゃくちゃカッコいいと思ったんだ。最初は開会式にモヒカンで出席しようとしたけど、別の大会があって行けなかった。だからモヒカンを披露するためにも頑張って表彰台に上がらなければいけなかったんだ(笑)。

オリンピックに出て良かったと思うことは?

スノーボードメディアはもちろん、一般メディアでも自分の滑りを取り上げてくれるようになったし、SNSのフォロワーもいきなり増えた。それは現代のプロスノーボーダーにとっては大切なこと(笑)。

滑りのスタイルで意識してることはなに?

同じトリックでも人と違ったやり方や、同じパークジャンプでも横から入るラインとか違う使い方を探してるよ。誰が何のためにそのアイテムを作ったかとかは関係なくて、大事なのはどう使うかなんだ。今の時代に目立つのって簡単じゃないけど、なにか違うことができれば最高だし、観てる方もテンション上がるでしょ?

ステールほどコンスタントにエディットを配信しているスノーボーダーはいないと思うけど、そのペースで発信するモチベーションを保つ秘訣は?

いくらSNSに自分の映像を上げたところで、ほかの投稿と一緒に流れて消えていってしまうからね。Youtubeチャンネルならちゃんとライブラリーとして残るし、観る側にとっても大きい画面で観ることができる。それってすごく大事なことなんじゃないかな。

動画発信のコンセプトはある? 

コンセプトはシリーズごとに変えているよ。1本のラインで魅せる、“One Line”、トリップ風景やライフスタイルを多く盛り込んだ“Stale Life”といった具合にね。1週間に数本の動画をアップできるように動いてるよ。

Rome SDSの魅力とは? 

ブランドが持つ雰囲気すべてが魅力だね。Romeはコアでかっこいいプロダクトをスノーボーダーに提供するスノーボーダーズブランド。品質もかなり高いしね。

今後のプロジェクトなどあれば教えて。 

今取り掛かってる極秘のプロジェクトがあるよ。ここ半年なかなか天気に恵まれず撮影が大変だったけど、なるべく早くみんなに見せれるようにしたいと思ってるよ。

追求していきたいスノーボーディングのフィールドはある?

今はコンテストに集中していなければいけない時期だと思ってる。でも今後はもっとナチュラルテレインや、バックカントリーでのライディングにトライしていきたいと思ってるよ。

10年後、RK1のみんなは何をしていると思う?

たしかなことはわからないけど、RK1のメンバーはこの先もずっと一緒に遊んでることは間違いないね。10年後もムービーを作ってるかもしれないし。ヨガでもして身体をフレッシュに保たないとね!

ステールのようなライダーを目指すスノーボーダーたちにメッセージをお願いします。 

世界にはめちゃめちゃ上手いヤツらがたくさんいて、キミと同じようにみんなが上にいくためにやってる。楽しむことを忘れずにたくさん滑って、やるべきことをやっていれば望みは叶うよ。俺が言えるベストアドバイスは、誰の真似もせずに自分なりのスノーボーディングを追求すること。つねにトライして新しいことを取り入れるんだ。もう何もかもみんながやっていて、全く新しいことをするには難しい時代だけど、つねにクリエイティブでいればできるはず!





Stale Sandbech Full Part from 『Nation』 / TWS

 

ALEK OESTRENG

アレック・オーストレング




Alek Ostreng アレック オーストレング  

コンペシーンで磨いた百戦錬磨のスキルを武器にストリートスポットを制覇するアレック・オーストレング。ソリッドなスタイルとクリエイティビティが融合した一級品のライディングは、現在進行系で進化中。





影響を受けたスノーボーダーは?

テリエ・ハーコンセン、スコット・スティーブンス、ニコラス・ミューラー、エリック・ホーゴ、尊敬しているライダーはたくさんいる。でも実際一番インスパイアされたといえばRK1のみんなだね。

ライディングスタイルで意識してることはなに?

うーん、なんだろう。昔は大会もかなりやっていたけど、俺には合わなかった。つねに一番難しいトリックをしなければいけないし、そのトリックはほかのヤツらも出してきて、やってることもかぶるしね。最近は本当に自分がやりたいこと、楽しいと思うことをしているよ。今もいろんなトリックに挑戦するのも好きだけど、前とは違ったやり方でトライするのが好きなんだ。

クリエイティブなライディングのインスピレーションはどこから?

インスピレーションはさまざまなところから得ていると思うな。昔のスノーボードムービーからインスパイアされることもあるし。でも一番は一緒に滑る仲間からが大きいね。

Rome SDSに移籍した経緯を教えて。一番良かったと思うことはなに?

Romeに乗ることになったのは、自分のスノーボーディングにおいてもっとも良かった出来事のひとつだね。ちょうど板のスポンサーがない頃にステールとレンがプッシュしてくれたんだ。プロダクトを実際に試したらすごく気に入ったし、会社のみんなもライダーもみんないいヴァイブスだったから、すぐに決断したね。意思疎通もバッチリだし、Romeになって本当に良かったと思ってる。

今後のプロジェクトなどあれば教えて。

まだ発表できる段階じゃないけど、新しいプロジェクトのために動いているよ。

追求していきたいスノーボーディングのフィールドは?

今一番楽しんでるのはバックカントリーだね。ストリートも全部やりたいけど、パウダーに勝るものはない。

10年後、RK1のみんなは何してると思う?

わからないよ。でも、ずっと滑りまくっていたいね。

ライダーを目指す若手スノーボーダーにメッセージをお願いします。

自分自身のフィーリングに向き合って、ナチュラルに自分が望む滑りをしていくのがベストだよ。

 

“Alek Oestreng Trades Contest Life for Street Rails” from 『Insight』 / TWS

LEN JORGENSEN

レン・ヨルゲンセン




レン ヨルゲンセン Len Roald Jorgensen  

どこまでも独創的なセンスで繰り出す、インパクト抜群のライディングが魅力のRK1のムードメーカー。長身を活かしたダイナミックなスタイル、フリーキーで意表を突く滑りは観る者をつねに楽しませる。型破りではない。レンが見る世界にはもともと型など存在しないのだ。





影響を受けたスノーボーダーは?

スコット・スティーブンス。変わったグラブをしたりヒネりの動きもガッチリいれてるし、彼の滑りはすべてにおいて一味違ってた。スコットの斬新で自由な滑りを観ていると改めて思うのが、自分の本当にやりたいスノーボーディングを追求するべきなんだということ。それしか滑っている理由はないからね。

滑りのスタイルで意識してることはなに?

あんまり細かいことは考えないようにしてるよ。ナチュラルに、ありのままに滑るのが一番。今までスノーボードの映像もたくさん観てきたし、カッコいいスタイルってのは感覚としてあるよ。やりたいトリックと自分がカッコいいと思うトリックをミックスできればいいんじゃないかな。

オリジナリティある動きがすごく印象的だけど、インスピレーションはどこから?

ありがとう! なんだろうな、人生すべてかな(笑)。他人のやることに流されないようにしてる。むしろ他人と逆のことをしてるかも。

Rome SDSに加入したキッカケはなんだったの? 移籍して一番良かったと思うことはなに?

Forumに乗ってたけどなくなって、板のスポンサーがないときにRomeのヨーロッパチームのマネージャーがRK1の映像を観たみたいで。それがキッカケかな。Romeは単なるスポンサーって感覚じゃないんだ。意見も聞いてくれるし、チーム感があるからいいね。みんなとにかくクールだよ。Romeじゃなかったら俺のキャリアはどうなってたかわからないね。最初から自分のやりたいようにやらせてくれてるし、スノーボードのために俺がなにか貢献できるベストな関係性でやれてる。いつもありがとう! 最高だぜ!

今後のプロジェクトなどあれば教えて。

今はないかな。でもシーズンインまでにはいろんなプランができてると思うよ。

レンが追求していきたいスノーボーディングはどんなもの?

山滑り。ストリートとパークもかなりやってきたし好きだけど、今はバックカントリーにもっと行きたいね。

10年後、RK1のみんなは何してると思う?

オラヴは相当おもしろいことになっているんじゃないかな。3、4年後には世界中を飛び回っていろんな有名人の写真を撮って、クレイジーな世界に遭遇するんじゃないかな。オラヴのポテンシャルは未知数で誰もわからないよ。 俺はずっと滑り続けたいね! 森のなかの景色のいい場所に家を建てて、ミニランプ、ツリーハウスとガレージも付けたら最高。ハッピーな生活ができていればいいな。たしかなことはスノーボードしてるってことくらいかな!

ライダーを目指す若手にメッセージをお願いします。

スノーボードをしよう。立ち止まらずにとにかく滑りまくろう!

 

Len Jorgensen Full Part from 『Connect The Dots』 / Postland Theory

 

FUN SNOWBOARDING

ファンスノーボーディング






 同じ町に生まれ、ともに育った3人のそれぞれが世界トップクラスのスノーボーダーとなったRK1。それぞれの活動はビデオシューティング、オリンピックやX Gamesなどのビッグコンテストなど多岐にわたる。タイトなスケジュールのハイシーズンを終え、春になると地元に戻りパークシューティングを行うのが彼らの恒例行事。そこで収められたフッテージはスノーボードのピュアな楽しさで溢れている。 超ハイレベルなスキルで魅せる究極のクルー・スノーボーディングは、世界中見渡してもRK1にしか成し得ない。そしてなにより彼らが大事にしているのは、気の許せる仲間との自由なスノーボーディングが生み出す、なににも代えることのできない歓喜。すべてを超越したスノーボードの本質がそこにはある。