EPIC SNOWBOARDING MAGAZINE

天海 洋 K2 Snowboarding

フルカービングを追求するニセコのスタイルマスター天海 洋のネクストステージ – K2 SNOWBOARDING

フォトジェニックという言葉が相当しいスムースな曲線を描くターンで多くのスノーボーダーを魅了する、カイゼル髭がトーレードマークの天海 洋。
雪が良くてもイマイチなコンディションでもプレイグラウンドの雪山をスノーボードとフリーフットで1日中滑り、楽しみを見出し続け、とことん追求する。雪が解ければスケートとサーフィンに明け暮れる。横ノリを中心のライフスタイルを謳歌する生粋のスノーボーダーだ。
コンテストやトリックに明け暮れる日々を経て、滑りを磨き続けるDownchillのキャプテンは、理想のターンのさらなる進化を求めて、なにやら先シーズンに板の開発に取り組んでいたという。2020-21シーズンにグローバルリリースとなる天海 洋の名を冠するNiseko Pleasures / Driven By: Yo Amagaiは、本年11月末より、151cmのサイズが数量限定で先行リリースされる。シンプルながらに奥深いターン。アートさながらの美しく人々を魅了するターンを追求するスノーボーダーが手掛ける板とは、果たしてどんなボードなのか? 天海 洋の拠点となるニセコを訪ねて、ターンの極意となる身体の使い方やボードの特性まで根堀り葉掘り探ってきた。

Photos by Junichiro Watanabe. Interview By Epic Snowboarding Magazine.
Special Thanks: K2 Snowboarding, Minenohara Kogen Resort.

 

 

天海 洋 K2 Snowboarding

 

 

年齢を重ねていくなかで滑りで変わってきたことはありますか?
ターンに夢中になったり、当て込みに夢中になったりしちゃってる感じですかね。

近年の洋くんといえば、横振りのターンやビッテリーターンの印象が焼き付いています。ターンに刺さっていったきっかけ聞かせてください。
それは、スケートボードの坂下りがアレになってますよ。世間ではダウンヒルって呼ばれてる“坂下り”を俺たちは“Downchill”って言われるくらいのゆっくりフルカービングしながら降りてるんですよね。それには理由があって、斜面ってスゲぇ急でしょ? ちゃんと斜面に対して切り上がるターンをしていかないとあっという間にスピードが出てダウンヒルになっちゃう。あのデッキがプルプルプルって(笑)。危ないやつになっちゃうからフルカービングで真剣に刻んでいって、切り上がりながら滑ってるっていうのをずっとやってたんだよね。それをゲレンデでも応用してたら、あれ? 結構安心して遊べるじゃんみたいな、どんな斜面でもゆっくり下りられるじゃん。みたいな感じを今探求したり、研究したりしてる最中かな。とくにニセコの山は横振りで滑るには最適な山なんで、自然と山に育てられた感じですよ(笑)。

ターンも今やお馴染みの髭も存在感ありますよね。
なんかスノーボードってゴーグルばっかしてるからさ、分かんなくなっちゃうよね。ウエアも毎年変わるし、顔が出ないからさ。わりと間違えられなくていいよねっていう。たまに本州行ったお客さんから「天海さんですよね!!」ドーン! って感じでスゴい自信持って言ってくれたり(笑)。嬉しいよね。

グリス派ですか? ワックス派ですか?
ワックス派ですね。ギャッツなんとか(笑)。

スノースケート、スノートイにもよく乗ってると思うのですが、フリーフットで滑ることで滑りが変わったことはありますか?
それはありまくりですね。ライン取りが一番変わったと思うよね。フリーフットはバインディングが付いてないから無理が効かないでしょ? 行けるところが限られちゃうから、地形とフォールラインに合わせて、流れに沿って滑る滑りっていうのが大事なんだ。ライン読みっていうのがスゴい大事で。そのラインを綺麗なラインで滑れるようになるから地形を見る目が養われる感じですよね。乗り方、乗る位置もスゴくシビアになるから、逆にスノーボードの方が上手くなってる。相乗効果感じてます。

深い切れ上がるターンをするのに意識してることはありますか?
スケートボードの坂下りで研究した感じだと、小さいフォーム。しゃがんだフォームで曲がるとターン半径が小さくなるよね。っていうのが分かった事実で、低重心で入り込んだらけっこう切れ上がる事がしやすい。

おぉ、極意が出てきた。
ただ、“しゃがむ”と“かがむ”は違って、しゃがめる人とかがんでる人。だと違うみたいな。しゃがむが◎。

深いなぁ。膝はどうすか?
膝は大事ですねぇ。あと足首ですね。足首を曲げられる人はなかなか少ない。ブーツで足首固定されてるでしょ? 最近のバインディングってガッチガチどこまでも閉まるでしょ? 安心感はあるけど、じつは足首が曲がらなくなるからね。足首が曲がらないと膝と腰しか曲げられないから、“かがむ”になっちゃうとかね。頭だけ下がっちゃうとか。ハイバックも固くしたら今度は膝を曲げるのだって簡単じゃないぞって話になちゃったりとか。

バインのストラップはあま締めですか?
トゥストラップはガッチリ締めてる。アンクルはあま締めかも知れません。最近は足首の自由度を求めてますね 。

ターンの滑りに大きく影響するんですね。
影響しますね。まぁ好みなんだけどね。足周りセッティングは非常に重要。知りたい人はDownChillのセッションに遊びに来たらどうですか(笑)? 映像で見るより全然分かる事が多いと思う。上手くなるにはいつだってセッションは大事。

 

 

 


フォールラインに向かって曲線を描く姿はアートさながら。足首、膝、腰から指先まで、ターンのフロウを感じることができるはずだ。

 

 

「日本のターン遊びは最先端行ってると思う」

 

 

洋君の板を出すことになった経緯はどんなきっかけだったのですか?
去年の1月初旬にK2 Japanのニセコモイワスノーリゾートで試乗会があって、そこに新たにK2の社長になったジョン・コロナが来たんだよね。その昔、BurtonのAKを立ち上げたりだとか、まぁ、滑り手だよね。何日か一緒にセッションして夜も一緒に飲んだり。俺の滑り方、ニセコの人たちの滑り方、日本のスタイル、日本人のやり方みたいなのを教えていたら、ヒドくジョンさんが共感してくれて、「じゃぁ、日本に向けた板を作ってみるか?」 って。純アジア人の体型に合うような板がどんな板なのか? だったり板について話してた。そこから動き出したって感じだよね。

自分の板を作りたいって想い強かったですか?
まぁやっぱり、自分のまわりには板作ってるヤツもいたり、Gentemstickのお膝元であったりとかさ、面白い板をいっぱい見てきてるから……ありますよね。その想いはずっとあった。

 

 

天海 洋 K2 Snowboarding

 

 

Stoney Surfersも手掛けるK2 Snowboardingのエンジニア、ジャスティン・クラーク(J.Stone)と日本で開発していたと思うんですけど、どんなところを話し合ってたんですか?
主にはキャンバーの高さとトーションの柔らかさについて。板の話ももちろんしていたけど、もっぱら一緒に滑ってた。日本のターンの遊び方っていうのは世界でも稀だから、海外の人たちも「おっ」て思うよね。なんかおかしいぞって(笑)。日本のターン遊びは最先端行ってると思うからそういうのを見せたり紹介したり。朝はスノーボードでパウダー、グルーミングをやって、午後から夕方まではがっつり雪板。ゴンドラ、リフトに一緒に乗ってあーでもない、こーでもないって、板の話をしてたよね。

ファーストボードはどんな板に仕上げたんですか?
レングスがちょっと短くて、ウエストの横幅を太くしたパウダーで浮力のあるモデルなんだけど、とくにカービングがキレキレな板。乗ってて曲がることが楽しいって感じさせてくれる板ですよね。グルーミングはとくに気持ちいいよね。あとはショートテールだから壁での当て込みとか当てやすいなぁ。短いテールでハーフムーンシェイプの組み合わせはね。しいて言うならどこも面白いよ。

間違いなく面白そうな板ですね。
原型になったのはSimple Pleasuresってモデルなんだけど、日本人の平均身長、体重の方が踏めて乗れるようなローキャンバーに設定して、板の芯材の不等厚はセンター薄めでテールの方はちょっと厚くなってますね。コアの配置とブレンドも仕上げて、よりしなやかさが出るような感じの板を目指してみましたね。あとはサイドウォールの素材がソールと同じ素材のP-Texになってカービング中でも減速しないシステム(笑)。

 

 
天海 洋 K2 Snowboarding

天海 洋 K2 Snowboarding

Niseko Pleasures / Driven By: Yo Amagai

2020-21シーズンには、151cmに新たに156cmが加わり、2サイズ展開でグローバルリリース。


 

 

仕上がりは満足するところまでいってますか?
いってると思う。このアウトラインは行きたいところに行けるようになってる。より自由度が高くて当て逃しナシみたいな。低速中速がすごい面白いよ。コアの不等厚を変えることによってトーションの動き易さを出したり。ローキャンバーにすることによって、動きやすくて、ロースピードでも楽しめる感じかな。あと日本によくある小さな沢の地形でもローキャンバーになってるから「引っかかりずらいぞ」っていう。

ヨウ君の今度出る板どんな人に乗ってほしいですか?
カービング好きな人に乗ってもらいたいのと、あと気の強い女の子に乗ってもらいたいかな(笑)。乗れちゃうから、ぜひ挑戦してもらいたいです。なんて思うな。

 

 

“The Rolling Stoners”

 

 

 

天海 洋 K2 Snowboarding
天海 洋 / Yo Amagai
1975年11月10日、埼玉県生まれ北海道虻田郡倶知安町在住。1年中を通してスロープ遊びを追求し続け、横ノリライフを楽しむヒゲがトレードマークのスタイルマスター。フォトジェニックな滑りでひと目観たものを一発で魅了する日本のフリーライディングシーンを代表するスタイルアイコンのひとり。ヒヤヒヤものの坂下りを追求するニセコローカルクルー、Downchillのキャプテンを務め、ウィールやクルザーデッキなどプロデュースまでスノーボードシーンのみならず、活動は多岐にわたる。合言葉はペス!

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Instagram: @yo_amagai
Web Site:downchill.com/

 


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