EPIC SNOWBOARDING MAGAZINE

blake paul ブレイク・ポール

INTERVIEW – BLAKE PAUL 「気持ちや感覚を色濃く出せるような作品を作りたい」

フリーライディングの聖地ともいわれるジャクソンホールが生んだ、次世代のマウンテンフリースタイラー、ブレイク・ポール。
しなやかな肢体から繰り出す独創的なライディングに心を奪われたスノーボーダーは数知れず。
ディープパウダーのスティープラインからジャンプまで、あらゆるフィールドを自身の表現の場とする男のスノーボーディングライフに迫る。

Interview & Translation by Epic Snowboarding Magazine, Photos by: Aaron Blatt, Special Thanks : StraightSix Ltd.

 

ブレイクのホームマウンテン、ジャクソンホールはフリーライディングのメッカとも言えると思うけど、どんな山なの?
世界中どこを見てもジャクソンみたいなリゾートはないと思う。約1.2kmも急な斜面が続いて、ナチュラルに飛べる地形がずっと点在してるんだ。ジャクソンホールにいいパークはないから、基本的なトリックはすべてナチュラルな地形で覚えたよ。

ジャクソンホール出身のライダーたちが世界中で活躍しているけど、そのなかでもカッコいいライダーを挙げるとすれば?
アレックス・ヨーダー、ロブ・キングウィル、ブライアン・イグチやマーク・カーターもそうだし、子供の頃からのみんなとずっと一緒に滑ってるよ。年上のみんなが滑り倒してるのをいつもカッコいいなと思って見てた。もちろんトラビス・ライスの滑りも昔から見てるし、彼がスノーボードシーンに与えた影響はすごいと思うよ。

経験豊富な滑り手たちと子供の頃から滑っているなんてかなりラッキーだね。とくに一緒に過ごしている先輩といえば?
ブライアン・イグチとマーク・カーターかな。バックカントリーでの撮影ではものすごく多くのことをふたりから学んだし、いろんな斜面に連れていってもらったよ。アーロン・ロビンソン(享年25歳)も僕の人生にもっとも影響を与えた人物のひとりだね。彼から全力で人生を生きるという意味を学んだよ。

 

blake paul ブレイク・ポール

Photo: Aaron Blatt

 

 

ナチュラルテレインでの滑りを極めていきたい

 

 

ブレイクといえばオールラウンドにスノーボードをしてるイメージがあるけど、ライディングスタイルのこだわりがあれば教えて。
今はナチュラルテレインでの滑りを極めていきたいと思ってる。ナチュラル地形でのフロウを活かしたスノーボーディングが自分にとっては一番魅力を感じるんだ。スキルと経験が大事になってくるライディングにね。エグいスパインを攻めるのもいいと思うけど、それ以外にも面白くて変わった地形もヒットしたい。

映像で見ても、ブレイクはいろんなタイプのスポットをヒットしているよね。パウダーでターンやジャンプを気持ちよくメイクする方法を教えて。
これといって秘訣はないけど…。パウダーで何かするなら、トリックを仕掛けるポイントとランディングする場所まで含めて、ラインの上から下まで頭のなかでイメージできていればうまくいくよね。パウダーではほとんどの場合、自分が思った以上にスピードが必要なことと、リップをしっかり抜けてからトリックを仕掛けること。ランディングは後ろ足から着地して、少し後ろに体重をキープするようにしているよ。ターンはパウダーライドの経験を積めば、自然に上手になってくるはずだよ。

 

そのときの気持ちや雰囲気を映し出す映像を残すような感覚で撮影してる

 

撮影でハードなライディングにトライすることもあると思うけど、ドロップする前どんな風にイメージしたり考えたりする?
これといって考えてることはないかな。覚悟ができていて、リラックスしていれば頭のなかでしっかりとイメージできるからね。

パートの撮影はどのように取り組んでる? やりたいトリックのリストを作ったりするタイプ?
地形やスポットにあわせてアイデアが浮かぶから、トリックリストを作ったことはないな。撮影の目的はプロジェクトによっても違うし、そのときの気持ちや雰囲気を映し出す映像を残すような感覚で撮影しているよ。

 

スノーボーディング、スケート、パーティ、仲間。ブレイクを取り巻くあらゆる瞬間をマッシュアップした、B Proddi Productionによるセカンドフルレングス作“The Full Length 2 (’16)”

 

白いシャツがトレードマーク的な印象だけど、お気に入りのシャツといえば?
それってよく着てるボタンダウンシャツのこと? あまりブランドのこだわりはないな(笑)。ただ気に入ったものを着ているだけだよ。

B Proddi Productionsのエディットについて教えて。撮影と編集作業はすべてiPhoneでやっているの?
そう、全部iPhoneでやってる。とにかくトリップや普段の生活でも、なんでもiPhoneで撮りまくる。スノーボードもスケートもマジな映像もたまにやるけど、面白くておかしな映像も混ぜて作ったり、ちょっとしたエディットを作るのが好きなんだ。

今まで「これはさすがに人前に出せない」っていう面白いフッテージがあったらこっそり教えて。
そこまでクレイジーなのはないけど、パーティとかで撮れたような変な映像も、だいたいそのまま使ってるよ(笑)。

よく一緒に動いているLick The Catはどんなクルー? フルムービーは出ないの?
スノーボードで繋がって、一緒に育ってきた仲間がLick The Cat。ユタやオレゴン、ジャクソンホール、みんな各地で動いていて、つねに一緒にいるわけではないけど、再会すればすぐにいつも通りに遊べる仲間たちだね。ここ数年はたまに集まってエディットを作ってきたけど、来シーズン公開するビッグプロジェクトがあるよ。最近はパートの撮影に費やしたから、スタントマンみたいなシリアスな撮影よりも、自分の気持ちや感覚をより色濃く出せるような作品を自分で作りたいね。

 

パウダーから残雪まで、あらゆる環境で自身のスタイルを表現するブレイクをフィーチャーした、“Frame of Mind: Bake Paul”

 

DRAGONのシグネチャーモデルについて教えて。毎年女性を採用したデザインだけど、そのアイディアはどこから?
自分でもどっから湧いてでてきたアイデアなのかわからないよ(笑)。記録用の写真とかを自分のiPhoneにいれているんだけど、そこからのアイデアかな。女性の美しさは万国共通と言ってもいいよね。人を惹きつけるデザインにしたかったんだ。

DRAGONのLumalensはどう? 
DRAGONのレンズは毎年進化していると思う。Lumalensはどんな天気でも最高の視界で滑ることができるし、細かく地形を見ることができるレンズだよ。

 

 

スノーボードをして生活できているなんて最高だし、めちゃくちゃラッキーなことだよ

 

 

ときにはメディアでライターとしても活躍しているけど、どんなモチベーションでライティングの仕事をしているの?
文章を書いたりするのも楽しんでいるよ。トリップに出て、ライダー目線で感じていることを伝えるのもいいと思ってる。メディアで最初に書いた文章は、アーロン・ロビンソンとチリにトリップしたときのこと。当時の感情や言いたかったことがたくさんあったから自然と書けた。やればやるほど書くことにも慣れていくし、これからももっと文章を書くこともやっていきたいと思っているよ。

アメリカのスノーボードシーンの景気は最近どうなの?
経済事情や温暖化のこともあるし、ビジネスとしてはうまく行っているとは言えないと思う。貰うべき金額を貰っていないライダーもいるのが現実。ライダーたちの生活も10年前のライダーたちと比べて、いいとは言えないね。でもそんな風にネガティブに考えてもなにもいいことはないよね。スノーボードをして生活できているなんて最高だし、めちゃくちゃラッキーなことだよ。

インスタグラムのいいねの数でライダーの契約金が変わるって聞いたけど、それに対してはどう思う?
SNSはものすごく大きな存在になっているのは間違いないね。ただ、スポンサー側がライダーにSNSでの投稿を強制したりっていうのはあまり感じないな。もしそうなったとしたら最悪だね。ブランド側はチームライダーたちのスタイルと存在感を確立させることに目を向けて、そのブランドに合った魅せ方をするべきだと思う。

ブレイクにとって「残すこと」とは?
フルパートを撮るとしたら、ロケーションを変えていろんな映像を残したい。自分のトリックレパートリーを小出しにしたり、エグい斜面やキッカーでぶん回して限界まで回転数を上げたりとかっていうよりは、今までやったことがないようなことに挑戦したいね。プロとしてテクニカルなスキルを見せることも大事だけど、自分なりの感覚やスタイルをミックスして魅せるのが大切だと思ってる。

ブレイクと同じ世界の舞台で活躍するスノーボーダーになりたいと思ってる子たちに何かメッセージやアドバイスを。
とにかく滑ること。そして、楽しむこと。自分の意見をしっかり持つこと。経験豊富な人と一緒に滑って教えてもらったり、同世代のクルーで切磋琢磨して滑るのもうまくなる秘訣。シーンのなかで派手に目立ちたいっていうよりは、小さく1歩づつやっていけば目標は達成できるはず!

最後にシャウトアウトしたい人を。
家族、友達、スポンサーのみんな、長年のサポートありがとう。スノー、サーフ、スケートに関わるクリエイティブな人たちが与えてくれるインスピレーションにも感謝。

 

 

blake paul ブレイク・ポール

Photo: Aaron Blatt

 
ブレイク・ポール / Blake Paul
バーモント州出身の1993年3月9日生まれ。7歳のとき家族でフリーライドのメッカ、ジャクソンホールに移り、兄の影響でスノーボードを始める。
スタイリッシュかつハイレベルなライディングだけでなく、インスタグラムで #BProddiProduction と題した人気映像シリーズを手掛けるほか、メディアでの原稿執筆など、さまざまな方法でスノーボーディングを伝えるマルチプレイヤー。

スポンサー:The North Face, Vans, Dragon, Gnu, Drink Water, Jackson Hole Mountain Resort, Bluebord Wax.

 

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