EPIC SNOWBOARDING MAGAZINE

masato toda 戸田真人

「残したフッテージで自分自身を評価してる」戸田真人の流儀に迫る

柔らかでいて鋭いライディングで人々を魅了し、21歳にして日本のストリートシーンのキーパーソンと言われる戸田真人が、adidas Snowboardingへ移籍し新たなるフィールドへ。真っ直ぐにトガったナチュラルボーンスタイラーの流儀に迫るロングインタビューをここにお届けする。

Interview by Epic Snowboarding Magazine, photos by Mike Yoshida, Taro Koeji

 

まずスノーボードを初めたきっかけから教えて。
家族がもともとスノーボードを嗜む程度にやってて、自分より先に兄貴(戸田聖輝)がやってたし家族のお陰で環境が良かった。兄貴のまわりにも聡くん(島田 聡)とかScloverの人たちが居たし、5歳位からやってる。

まだ21歳だけどキャリアは長いよね。どんな思いでライダーとしてやっていく決意をしたの?
スポンサーにサポートしてもらってもう12年で、人生の半分以上やってる。初めてスポンサーがついたときからビデオに出てライダーとしてやりたいって思ってた。

影響を受けたスノーボーダーは?
やっぱりScloverの聡くんかな。昔はやってること真似してたし、それに近いことやってた。あとは兄貴とまわりの影響で知った、Midget Mafiaとかベアマウンテンのザック・ヘイル、アンソニー・マゾッティだったり、そこら辺のライダーが同い年か俺の何コか年上で、こんなカッコいいヤツらいるんだーって当時影響を受けた。

 

スノーボードをかっこつけて滑ってるのを見てカッケーって思ったから

 

真人は当時見てたライダーたちのどんなところに惹かれたの?
やっぱり、スノーボードをかっこつけて滑ってるのを見てカッケーって思ったから。ルーカス・マグーンだったりクリス・ブラッドショーだったり、すげぇかっこつけてる感が出てたし、かっこつけ過ぎてカッケーというか。「スノーボードは競技じゃねえ」って表現してた聡くんたちが、スノーボードはカッコつけるモノだって示してくれてたから。

 

masato toda

Photo: Mike Yoshida

 

残したフッテージで自分自身を評価してる

 

スポットを選ぶこだわりや基準があれば教えて。
ロケーションをやっぱり一番見るかな。レールの色とか見栄え、背景も見るし。普通にやってるだけじゃ観てる人も面白くないから、ちょっと変わったことも狙いつつ。「このレールカッケー」でやることもあるし、「このレールエグいね」じゃあやろうってなることもあるし。そこはやるか、やられるかわからないくらいで選んでる。

トリックのセレクトはどんなふうに決めてるの?
スポットに合わせた技を考えると、ぶっちゃけストリートは得意技がほぼでない(笑)。「初めてこの技やるけど、できるかな?」っていう感覚でトライして、それで意外とできちゃうからドンドンやっちゃう。ストリートで覚えるとき、しょっちゅうですね。基本的にストリートはその場でトリックを決めてる。

ストリートとパークで滑ることの違いってどう考えてる?
映像で上を目指してるんなら、ずっとパークで滑ってもその先ないし、コンテストに出るわけでもないからやっぱり最終的にストリートにたどり着くかな。ロケーションがカッコよくて、エグい場所。目立ちたいヤツ、かっこつけたいヤツがやれって感じですよね(笑)。残したフッテージで自分自身を評価してるもんだから、いい映像になればいいなって思ってやってる。

2016-17シーズンは北海道をベースに動いてたと思うけど、どんなシーズンを過ごしてた?
基本的にはほぼひとりで動いてて、日本人とはあまり動いてなかったかな。1月のSTONPの「Zetsurin」が終わったあとにジャスティン・マルフォード、アンソニー・マゾッティ、タイラー・リンチと3週間くらい撮影をまわってた。それからadidasクルーが来日して2週間くらい一緒にやった。

 

adidas Snowboarding “Psycho Yabai”

 

adidas Snowboardingのチームライダーたちとどんなセッションをしてたの?
1回目の来日はトミー・ゲスメ、デレック・リバー、アレックス・シャーマン、あとジェイコブ・クルッグマイアかな。途中から合流したフォレスト・ベイリーと最終的にふたりになったんだけど、ライダーふたりにカメラマン4人でしかも全員RED。なんじゃこれー、すげー。っていう状況だった。

RED4台…日本の撮影クルーでは想像できないね。
その後に、USのトランスワールドのビデオプロジェクトで、ジョーダン・スモールスとジェシー・ポールが来ることになって一緒に動いた。それからロシアのストリートスキーヤーのアルカディってヤツらともやって、そうしてる間にadidasクルーがまた来て、デレック、トミー、ジェイコブ、あとベン・ビルドーと撮影して。その後Brown Cinemaでキーガン・バライカたちともセッションした。スコット・ブラム、ハリソン・ゴードン、あとサミーって面白いヤツ。このクルーの暮らしがもう半端ない。イカれてて、超面白かった。家の中でビールぶちまけまくって、床ももうぐちゃぐちゃ。ラーメン屋着いたらギターで宴みたいになっちゃうし。

 

北海道で真人がともに撮影した、キーガン・バライカのプロジェクトBrown Cinemaによるジャパンエディット“Guys in Jeans Gaijin”

 

もっとやれることがあるんだなって考えさせられることが多い

 

海外のライダーたちと一緒にセッションして、なにか感じたことは?
まず、スポットの見方が違う。シンプルなこととか、日本人が考えてるようなスポットは海外ライダーはやらないことが多い。日本のロケーションに面白みを持って来てるから、曇ってる方が日本の空っぽいから好きとか言うヤツらもいるし。俺らが海外で青空がいいって言ってるのと同じで。

滑りはどう? 日本人のライダーたちと決定的な違いはある?
トリックチョイスも滑りのレベルもヤバいし、考え方が違うかな。俺らが普通にやるようなスポットで新しいことやってる。同じスポットで絶対に他人と同じことやらないし。もっとやれることあるんだなって考えさせられることが多いですね。先シーズンは本当にいろんな新しい経験ができた。

 

masato toda 戸田真人

Photo: Mike Yoshida

 

adidas Snowboardingと契約した経緯について聞かせて。
まずカズくん(國母和宏)が使っててカッコいいって思ってて、STONPのビデオに出してもらったあとに、小さい頃からお世話になってたスポンサーにadidas Snowboardingを履きたいって伝えて、偶然にもしばらくした頃にadidas側から声がかかった。

すごいタイミングだね。
そうですね。ビックリでした。自分から話をしようと思ってたけど連絡が来て。adidas履きたかったし、自分で使うモノは好きなモノを使いたいから、もうこれタイミングがバッチリだなって。

adidas Snowboardingチームの印象はどんな感じ?
ノリにノッてるライダーがいるし、勢いがあると思う。みんな滑りがヤバいしめっちゃ仲がいい。俺なんて英語は得意じゃないけど、みんな良くしてくるし。まぁわかんない分、興味持って欲しいし滑りで自分を見せてやろうって気でやってる。

お気に入りのプロダクトは?
SUPERSTAR ADV、AMBA ADV、TACTICAL ADV、全部使ってる。TACTICAL ADVは、足の衝撃が逃されてるブースト(衝撃吸収素材)が入っていて、履き始めからすぐにフィットしてノーストレスで履ける。見た目が一番気に入ってるのはSUPERSTAR ADV。ウェアは、3本ラインのLAZYMAN PANTがめっちゃいい。滑ってそのまま部屋で過ごせるくらい超柔らかくて、調子いいパンツ。

 

男としてひとつやって来たものが、中途半端にやって終わってはダセェって思ってるから

 

adidas Snowboardingに加入した今、真人が見ている今後の展望とは?
いちスノーボーダーとしてやっていくって気持ちが俺のなかであったから、これからの活動をバックアップしてくれるってadidasの声は大きかった。スノーボードは人生の半分以上を費やして、ライダーとして、男としてひとつやってきたものが、中途半端にやって終わってはダセェって思ってるから。とにかくやれるだけやりたいなって感じですね。

 

masato toda 戸田真人

Photo: Taro Koeji

 

真人の最新フッテージはどこで見ることができる?
フルパートはDirty Pimpフルムービー『Stay High』。あとはadidas Snowboardingのウェブムービー “Psycho Yabai”、Brawn Cinea“Guys in Jeans Gaijin”。

ストリートでフッテージを「残す」意味ってどう感じてる?
先輩たちの映像を見て、カッコいい、やりたいって思って今やってるから、俺がやってるのを見て、やりたいと思ってくれる人がいたらいいなぁって思ってる。海外でも自分の名前があがるくらい有名になりたいって思ったし、目標にされたい気持ちもちょっとある(笑)。そうなれば、やった甲斐がある。せっかくやってるなら目立たないと。

今後の目標があれば教えて。
スノーボードの滑りで海外勢に勝ててないし、目立ててるとも思ってないから、もっとフッテージのクオリティを上げたい。海外ライダーに追いついて負けたくない。「日本人舐めんじゃねぇ」って感じですねそこは。海外でも日本でもそこまで目立ってないと思うけど、世界でみんなが注目してくれるようになりたい。

 

toda masato 戸田真人

Photo: Mike Yoshida

 

masato toda
戸田真人 / Masato Toda/
1995年12月11日生まれ、東京都小平市出身。兄の影響で8歳よりスポンサードライダーとして活動しはじめ、若くして長いキャリアを持つストリートジバー。日本のシーンを担う滑り手として、その動向につねに注目が集まる。
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