EPIC SNOWBOARDING MAGAZINE

大久保 勇利

大久保勇利 / YURI OKUBO 「自分のやりたいスノーボードを探してる」

2000年生まれのスノーボードキャリア8年にして、世界の第一線で活躍するニコニコ笑顔がトレードマークのハイテンションボーイ大久保勇利。
昨今では表現の世界に飛び込むなど、類まれな才能のポテンシャルは未知数。
Rome SDSチームを牽引する若き逸材のマインドを覗いてみる。

Photos by Atwosee, Kentarou Fuchimoto.
Interview by Epic Snowboarding Magazine.
Cover Shot: Atwosee
Special Thanks: Hasco Enterprises, Aomori Spring, Audi Nines.

 

Yuri Okubo 大久保勇利

Photo: Atwoosee

 

スノーボードにのめり込んだのはいつ頃からなの?
小学3年の時にミニバスやってたんですけどキャプテンになるみたいな話がきて、人をまとめるのが苦手だからキツいなぁと思って。そんなこともあってスノーボードに集中しようと思って小学4年から本格的に滑りはじめました。

影響を受けたスノーボーダーといえば? 
ひとりに絞れないんですけど、影響を受けたのは小学4年のときに俊樹君(山根)あとアーサー(ロンゴ)が好きですね。最近はインスタで海外のライダーとかヤバいヤツ、カッコいいなと思ってる感じですね。

スノーボードをはじめた当時から映像見てた?
その当時はまわりの滑ってる人に付いてくことに必死で全然見てなかった。

どういうスタイルのライダーが好き?
ライフスタイルが滲み出てる人が好きですね。この人、絶対普段からカッコいいとか思えるような人とか。分かるじゃないですか。超滑り込んでるなこの人とか。この人スノーボード好きじゃないのかな? とか見て感じ取れちゃうから、やっぱりスノーボードが好きで楽しんでる人とかカッコいいですね。あんまりスノーボード好きじゃないんだろうなって人に限っていろいろ言ったりして(笑)。

平昌五輪に出たり世界のトップコンテスト活躍してるけど、ライダーとして滑るということを意識したのはいつ頃から?
中学校2年でプロ資格をゲットしてから。でも、スノーボードでガチで食いたいなって思ったのは本当に最近。

コンテストで目標にしてる大会はあるの?
X Gamesに出たいって言い続けてるんですけど、なかなか難しい。
最近の大会はけっこう機械的な動きばっかりで勝つ技のパターンが決まってるからなんか、スノーボードしてる気がしない。だからいまは少し大会が楽しくなくなってきたのかもしれないですけどね。

なるほどね。楽しいスノーボードをどんどん知っちゃてるのかもね。
そうかも知れない。

世界最高峰のパークセッションAudi Ninesにも参加してたけど、どうだった?
なまらセクションがデカくてビビってたけど、最終的には慣れてきて気持ちよく飛べて最高でしたよ。滞在中はプールやサウナに行ったり、マッサージも受けられたり、ライダーサポートも完璧で本当に楽しくて最高なイベントでした!

 

 

Yuri Okubo Audi Nines 大久保有利
Yuri Okubo Audi Nines 大久保有利

オーストリアで開催された巨大パークセッションAudi Nines 2019
Photo: Audi Nines 2019

 

 

自分のやりたいスノーボードを探してる

 

 

映像や写真で表現するライダーとしての方向を意識したりすることもある?
もっと大会やった方がいいかなとか、俺もガチガチに撮影したいなって思ってたり、いろいろと考えてます。昨年ぐらいからは、もうどっちもやりたいなって。どっちも続けます。

INK Movieの撮影プロジェクトも楽しみだね。撮影に参加していて感じることはある?
自分を出せるように楽しみながら滑ってます。今シーズンは大会をメインにまわっていたので巻き返せるように頑張ります!

 

 

Yuri Okubo 大久保勇利

Photo: Kentarou Fuchimoto

 

 

シーズン中はかなり海外を転戦していると思うけど、どの位の頻度でいってるの?
いまは9月ぐらいから大会がはじまって、だいたい3月に終わるから、その間日本に帰ってくるのは多分5~6回ぐらいで、しかも1週間ぐらいしかいないことがほとんですね。けっこう動いてる。

ナショナルチームではどんな活動をしてるの? 年間スケジュールがみっちり組んであると思うけど。
オフシーズンになったらKingsや筋トレ合宿とかトレーニングですね。JISS(国立スポーツ科学センター)ってトレーニングセンターでメニューをこなしていく。コーチは男女合わせて10人ぐらいかな。夏場の合宿のときは部活みたいですね。冬はワールドカップとか大会をまわっていく。

移動は得意?
いや、得意じゃないです。移動は嫌だなぁ。飛行機はまだしょうがないとして、バスとか電車とかが嫌ですね。免許取って車で行きたいですね。行ってスケートパーク行きながら移動したい。

海外遠征で滑り込むときは朝からパークにいくの?
大会の日でも雪が降ったら公開練習とか出ないでパウダー行っちゃう。「上の方いいでしょ、ちょっと俺パウダー滑ってきます」って。ガチガチにパークにこもってやってるのは俺には合わなくて、ひとりでもいいところを探してフリーランしてる。来夢君とかがいるときは、一緒に動いたり。

強化指定選手だと補助金だったりサポート体制はどんな感じなの?
去年はワールドランキングで2位に入って、S指定に入れて全額免除。さらにお金も出してくれることになって。それで助かってたけど、今年はAに落とされて自己負担になって、お金がかかるようになってしまってる。

それは大変だね。遠征費かなりかかるよね。
5~6回もあるんでけっこうしますね。ひとつの遠征で30万〜40万ぐらいは。

オリンピックに出て変わったことはある?
あんまり変わってないけど、契約金とかの話は貰えるようになって。まわりの友達はなにも変わらない。なにも変えないで欲しかったし。

同世代でライバルとか意識したるすることあるの?
いやぁ全然ないですね。ライバル意識とかは全然ない。自分のやりたいスノーボードを探してる感じ。

 

 

Yuri Okubo 大久保勇利

Photo: Atwoosee

 

 

いいね~。探してるスノーボードはとはどんなものなの?
いまはVansの海外のクルーに憧れてるから、スケートもめっちゃうまくなりたい。ストリートもやりたいし。ジャンプ、パウダーも全部やりたい。

面ツルパウダーを目の前にしたらどんな滑りしたい? やっぱり飛びたい?
飛べるところがあって綺麗な面があったら、たぶん飛んでから綺麗な面に狙うか、ジャンプしてもう1本登り返して滑る。どっちもやりたい(笑)。

勇利がパークとナチュラルのジャンプの違いを感じることとはある?
違いはけっこうあるけど、ナチュラルを最初は全然やったことなかったから着地が難しくて、最初はランディングに刺さったんですけど、もうちょっと後ろだって思ったら今度は捲くられるようになって、「これどうやって乗るのよ?」 みたいになって(笑)。その後に映像を見て、「こういう感じか!」みたいな。「面にこうパッって感じ」で、そしたら立てて、そこからちょっとずつ着れるようになって。でもナチャラルは全然まだまだです。凄いですよみんな。中井君(中井孝治)とか、なんでそれ耐えれるの? みたいなのとか耐えてくるから。

本当職人だよね。
マジですよ。

北海道の先輩で印象深い人といえば? 
やっぱり、中井君とツトム君(中田 奨)。とくにツトム君にはいろいろと教えてもらってる。意図的に教えてもらってるというか勝手に感じ取って勉強してるし、感じ取らせてくれてる。ツトム君は定山渓の山のなかに住んでるから、1週間ぐらいから10日ぐらいで泊まり込みに行かせてもらって、バックカントリーで毎日スノーボードして、いろんな新しい刺激をもらえたかな。行者ニンニク採ったりもして(笑)。

ツトム君とバックカントリーではどんなことを感じたの?
本当いろいろですね。自分が全然やったことのないことが毎日出てくるような感じで超新鮮。どんどん楽しくなっていったり、もっと自然が好きになったり。スノーボードが最高だなって思ったり。

いい兄貴だね。
はい。行者ニンニクはで3枚葉だと採らない方がよくて、1枚葉も駄目。2枚葉だと採っていいみたいな。シーズンで1枚づつ葉が増えていくっぽくて、それで2枚葉が一番美味しいって。去年はじめて食って、「なんだコレは。めっちゃ美味いじゃん」ってこんな美味いのが生えてるのかって? 滑り終わって帰ってきて「夜飯採りに行くか?」みたいになって行者採って鍋に入れちゃってとか。

 

 

Yuri Okubo 大久保勇利

Photo: Atwoosee

 

 

今年のオフシーズンはどんな風に過ごすの?
これからオフシーズンにはサーフィンもやりたいと思ってる。去年からはじめて、5〜6回はいけて立てるんですけど、立つまでも問題だけど、立って横にって感じじゃないですか。横行けたと思ったら波が終わってしまってるみたいなのが結構あって難しいけど面白い。まずは免許を持ってないからサーフィンできる合宿免許で狙って。その合宿免許が終わったら、来夢君と一緒にサーフトリップをしようって話てる。それで西田 崇君のホームの海まで行こうって。

それは面白そうだね。
免許があればそうとう動けるので家にいなくなると思います(笑)。
いずれは、今まで一緒に滑ってた人たちのところに久しぶり顔だしてローカルスポット滑らせてもらったり、動いていきたいなって思ってる。

 

 

Yuri Okubo 大久保勇利

Photo: Kentarou Fuchimoto

 

 

YURI OKUBO / 大久保勇利
2000年7月27日、北海道札幌市生まれ。平昌五輪ビッグエア、スロープスタイルに出場するなど、日本を背負って立つヤングガン。しなやかで力強いフォトジェニックな滑りは撮影クルーのみならず、誰もが声をあげるほどの一級品。コンテストはもちろん表現の世界でも今後の活躍が楽しみな札幌の若きキーパーソン。

スポンサー:Rome SDSRevoltSandboxムラサキスポーツDakineGalliumARK富山Kings.

Instagram: @yuriokubo727